続・痴漢電車 1・愛

 意識がもうろうとしている中、男があたしにパーカーか何かを羽織らせた。
 無理やり袖に、手を通されたのだけど、そんなにキツくもなく通すことが出来たってことはメンズのLかLLくらいだったんだろうか。
 アイマスクを外されたので、男の顔は見えたが、それで名前が分かるわけもなく。ま、つまりは知らない相手だったってことで。
 パーカーのファスナーをしめてはくれたものの、それで下半身が隠れはしない。
 ましてや大量に中出しをされた後……。普通に考えたら、そんな状態で歩いて、なんて考えられないのかもしれないけど、この時のあたしは、男にくっついて、つれて行かれるままになることを選んだ。
 男は、ありがたいことに(後で考えたらこれが本当にありがたいのかはよく分からないが、まぁ、個人情報の固まりであるスマホや学生証を守ってくれ たことは間違いない。)、あたしのバッグを肩にかけ、あたしの身体を抱えるようにして電車を降りると、周囲の奇特な物を見るような視線を浴びながら(だったらしい、と後から聞いた)、改札を通り抜け、よろよろと、男の店まで歩いた。
 男は、店のテーブルにあたしのバッグを乱暴に置いてから、あたしを椅子に座らせた。
(かたっ……。クッションなしなんだ、ここ……?)
 あたしを椅子に座らせる時によっこいしょ、と言い、 そのあと、ふうと大きく息を吐いた。
 それから店の入り口の方に行くと何かがさごそやっていたようだ。どうやら、入り口の札を裏返し、カギをかけ、カーテンをしめたらしい。
 椅子に座らせてくれたのはいいんだけど、木の椅子だから、お尻の中に入っているアレの音と震動がすごいんだよね。
 これ、ずっとこのままなのかな……。身体がひくひくしちゃってすごいんだけど……。 なんてことを思っていると、男があたしに近づいてきて、パーカーを脱がせた。さっきまでと違って周りに人がいない。とはいえ、知らない男に全裸を見られてるっていうのは恥ずかしい以外の何ものでもない。
 頭の上で両手を交差させられて、手に何かはめられた。かたくも、冷たくもないから金属製ではないんだろう。ずっと後で、これがソフト 手錠だと教えてもらった。
 男は、それからあたしの頭をちょっと撫でるとどこかに姿を消した。
(ちょっと、一人にしないでよ……。これっ、止めて……。 もぉ止めてよっ……。)

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