続・痴漢電車 4

 玩具をセットし終わって、俺は愛の前に立った。
 机の上に置いといた愛の学生証を取り出すと、それを愛のデカパイにのせる。
「何するの?」
 愛が心配そうな顔でこっちを貼るから、頭をトンとなでてから答えた。
「記念撮影。せっかく上手にセットできたし、と思ってな?」
 そして、スマホポケットから取り出して、愛の姿を写真におさめる。
 スマホを操作し、ムービーに切り換えてから、愛に告げる。
「カメラの方見て、自己紹介しろよ。学生証も写ってるんだし、大学名とかもな?」
 スマホを構えて愛を見ている。
 しばらく黙って唇をかんで、こちらを睨みつけていたが、意を決したように口を開いた。
「道浦愛です。○○大学○○学部の1年生です。んっと、3サイズは……。」
 言われた通りに愛が自己紹介をしたのでそれを撮り終えると、スマホを操作して、今、撮影した写真と動画を見せた。
「キレイに撮れてるだろ? これ? 俺、才能あるんじゃないかな、カメラの。」
 スマホを愛の目の前でひらひらさせていると、大きくは動けないが、頭の上で手を動かし、足をバタバタさせた。
「ちょっ、そんなっ……。」
 もう一度スマホの写真を見せる。学生証が写っているあたりを拡大して示す。
「な、このごろのカメラは性能がいいから、拡大したらこんだけバッチリ分かっちゃうんだなぁ?」
「ちょ、本当にやめて……!」
 焦る愛を見ながら、低い声で、思いつきを提案してみる。
「じゃあゲームしてみるか?」
「ゲーム?」
 突然、何を言い出すんだ、みたいな表情の愛に追い打ちをかけるように告げる。
「そう、ゲーム。今から10分間、この状態で愛が逝かなかったら、さっきの写真と動画は消してやる」
「イ……く?」
 あ、まだ良く分かんねェか。まあ仕方ないな。
「うん、まぁまだハッキリ分かってないかもしれないけど、ようは愛が、何されても気持ちよくならなければ、愛の勝ちってコト。もし、負けたら……。」
「負け……たら……?」
 愛が心配そうにこっちの顔を見て、そう尋ねる。
「負けたら、さっきの写真を引きのばして印刷する。んで、額に入れて店に飾ってやるよ。な?」
「え……ヤダ……。そんなのっ……。」
「負けなきゃいいだけのことだろ? やるよな?」

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