愛 調教編

 愛が大量に潮をまきちらして逝ってしまったの 確認したところで、スマホのタイマーを止める。
 残り時間の表示は2分52秒。
 つまり、2分8秒しか経っていないことになる。
「ま、良く頑張った方じゃねェか……?」
 俺はそう呟くと、ぐったりして白目をむいている愛を見ながら、タバコに火をつけた。そうそう、 灰皿がいるよな……。
 タバコをふかしながら、おもちゃのスイッチを微弱にした。それでもなお、意識のない愛の身体がピクピク揺れ動くのが見ていて面白いのだ。
 一本目のタバコを灰皿に押しつける。
 すぐ、二本目のタバコに火をつける。これだからチェーンスモーカーと言われたりするのかもしれない。
 二本目のタバコの煙が気になったのか、その煙を吸いこんでむせた。そして首を振り、やっとのことで目を覚ました。
 それを確認してから、二本目のタバコも灰皿で押しつぶす。そして、目を覚ました愛に、スマホの画面を見せつけてこう言う。
「見ろ、愛。残り時間は2分52秒。スタートしてから2分8秒だったってワケ。おつかれさんなー?」
 意識を止り戻した愛は、俺を睨みながら唇をかんでいた。
 話の途中で変な声が出ないとも限らないからおもちゃのスイッチは切っておく。
「この勝負は俺の勝ち。愛は解放されないから、覚悟してもらうぜ?」
 俺がそう宣告すると、愛はまた口をパクパクさせていた。少ししてから、愛が意を決したように、こう尋ねた。
「か、覚悟って……。何……。どういう事?」
 俺は軽く鼻をこすって笑いながら答えた。
「聞いちゃうそれ? まあ、別に俺はいいけど……。」
「くっ……。本当に、解放されないの?」
「勝負に勝ったのは俺だからな?」
 俺は、ゆっくりとそう言うと、愛のあごに手をかけて少しだけ顔を上に向けた。
 唇同士が触れ合う寸前まで、ぐっと顔を近づけて、その状態で言った。
「どうしても解放してほしいと言うなら、さっきより厳しいけど、もう一回ゲームしてやろうか?」
「またゲーム?」
 愛はちょっと不服そうだ。だがそれには構わず、続ける。
「そうだ。ゲーム。一番簡単だろ?第ー、お前、さっきの5分勝負で床をびしびしょにしてるんだ。それでもまだイカされたいのか?」
 さっきの5分勝負で、潮を吹きまくったことを言ってやると、俺を睨んでいた愛の顔が真っ赤になった。さて、愛は何と答えてくるか……。
「もうイヤ……。イキたくない……。です……。」
 予想通りの答えが返ってきたので、俺は笑って、愛の頭を撫でてやった。
「そう言うと思ったよ、愛。だから、次は愛が『イキたいです。イカセてください』って言ったら、俺の勝ち。な?」
 俺が言っているコトが理解できなかったのか、愛はポカンとしていた。
 まあそれも当然といえば当然か。自分はやりたくないと宣言していることを自らやりたいです。と言えば負けになる、という勝負を申し込まれているのだから。普通に考えたら、やる意味が分からない勝負だから、愛は戸惑っているにちがいない。
「イキたくないって言ってる愛のコトだから、自分から『イカせて下さい』って言うなんてありえなくない? だったら、60分耐久でも、問題ないよな?」
 そう言って俺は愛にふっかけてみた。これで受けたら儲けもんだし、交渉してくるようなら、受ける気があるともとれるのだし。
「60分……。1時間も……ムリっ……。」
「へェ。なら、30分ならいけるのか?」
 そう重ねて言ってみた。
「15分か……。せめて20分……。」
 考えに考えて、愛はそう答えた。用心深くなってるか……。まあどっちにしても変わりはない。
「んー、じゃ、15分にしようか。15分の間に、愛が『イカせてください』って言っちゃったら、俺の勝ち。言わずに耐えきったら、無事、解放、と。」
 そう、勝負の内容を説明すると、愛がこう言う。
「本当に解放してよね!?」
「もちろん。耐えきれたらな? ただ……。」
 俺がボソッと呟いたその一言が気になったらしい。
「ただ……何?」
「俺は、愛にその言葉を言わせないと負けになるからな。どんな手を使っても、それを言わせようとするぞ?」
「えっ、嘘、そんな……。」
 じたばたしようとする愛の肩を押さえて俺は言う。
「俺だって勝ちたいからな。」



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