男は、あたしの両肩を押さえていた手を離して、あたしの目をじっと見ながらこう言った。
「俺は、勝ちたいから、どんな手を使っても、愛に『イカセてください』って言わせてやるよ。15分でなぁ?」
それからスマホをとって操作し、タイマーをセットして
スタンドに置いた。しっかり15分にセットされている。
「どんな手を使ってもって……。何考えてんのっ!」
ひきょうな宣言をされて腹が立ったので、男を睨みつけたままそう言ってやった。でも男はそんなことはお構いなしだ。
「お前に勝つコト、考えてるに決まってんだろ。さ、始めっか、勝負、いくぞ?」
ちょっとは人の話を聞きなさいよと言ってやろうとしたら、それよりも先に、男はスマホの画面をタップして、タイマーを動かしていた。
話の途中だって……えっ、それ……?
男がまた、小さなドリンク剤くらいの小さなビンを見せつけてきた。
それ、またヤバいやつなんじゃ……。
あたしが首を振って、それを飲ませようとするのを嫌がっていると、男はあたしの頭をおさえつけてきた。しかもそこから鼻までつままれてしまった。 気持ちいいとかどうとか以前に、息ができないっ……。
変にじたばたしちゃったものだから、いつもよりも 息が続かず、すぐ苦しくなって口を開けてしまった。
男はその時を逃がさず、口移しでビンの中身を流し込んできた。
「ん、ん、んっ……。またっ……こんなのっ……。」
ビンに書かれている言葉からも、間違いなく変になる薬(媚薬)だと分かった。
次の瞬間、また心臓がドクンとなって、お腹の辺りから急にかあっと火照ってきた。
やばいやばいやばい……。
なんでこうなっちゃうかなあ……。
やばいヤツを飲まされた。って思うだけでも、また心臓がドキドキしてくる。っていうか、バクバクしてる、ってくらいすごいことになってる。
とはいえ、このままいいようにされるワケにはいかない。
タイマーをちらちら見ながら、どう逃げ切るかを考えようとしていたその時。
クリトリスに貼りつけられているピンクの丸っこいのが、一瞬だけ、ぶるぶるっと揺れた。
「んんっ!!」
我慢しようとしても声が出てしまった。その一瞬のぶるぶるのせいで、あたしの全身が大きく跳ねてしまう。
うー……。どこまでもサイテーなヤツよね。勝つために、本当に何でもしてくるんだ……。
一旦揺れたそれは、10秒ほど間をおいてまた揺れた。そして、一瞬で止まる。
うう……。何、これ……。 これを5回続けられ、1分が経過した。
スイッチが入って、小さいのがぶるっと揺れる度にあたしの身体も跳ねる。
それを見て、男がうれしそうな顔をして言う。
「どーした愛? 気持ちいいんだろ、な? これ、すごいよなァ?」
どーしたじゃないわよ。こんなやり方しといてっ。
黙って男を睨みつけていると、さっきの空ビンをあたしの目の前で振って見せたあと、こんどは何かチューブをとり出してきた。
「んうっ……。」
返事をするのも面倒だし、黙って首を横に振っていると、男はそのチューブのフタを外し、中のドロッとしたクリームみたいなものを、あたしの胸に垂らしてきた。
ちょっ、何してんの、また何か変なもの……。
驚くあたしに何の説明もせず、男はそのクリームみたいなものを、ゆっくりとあたしのおっぱいに塗り込んでいった。
これも変なヤツじゃっ……あ、うそ、マジでっ……?
思った通り、何かさっきのドリンク剤と似てる感じになってきた。心臓がもっとバクバクしてくるし身体もどんどんほてって汗が止まらなくなってるし……。
「あっ……。」
男がそう呟いて、ポケットから何かを取り出した。あれ、電車であたしがつけられてたやつ……。 まさか、また、あれを?
そんなことをされてたまるもんか。首を振って 抵抗する。
だが、男はそれすら楽しんでいるかのようにも見えた。よくよく考えたら分かるけど、こんな時に暴れたら、薬の効果がどんどん大きくなってしまう。だから、あたしは首を振って嫌がれば嫌がるほど、男の思うツボにはまっていってた、ってワケ。

官能小説ランキング
コメント